フェイクといえばちょいと人を騙してやろう程度のものの認識の人が多いのではないでしょうか。 でも、アメリカはちょいと規模が違ったりします。いろんな意味で「やっぱりこの国はでっかいなー」という感じの話です。

「お金のなる国」であるアメリカは海外からの不法移民のターゲットであるのは万人の知るところです。 意外な事に、アメリカ人は実はほとんど知らないのですが、移民局はアメリカの中でも大変忙しいところです(我々移民はよーく知っていますよね)。 日本人が日本でのビザ・プロセスを全く知らないように、アメリカ人はアメリカでの移民関連の情報ををまず知りません。 ただ、日本と違い不法移民の存在は良くも悪くも、この国の根幹をなす問題です。不法移民の問題自体は、選挙戦の大きな関心であるのは言うまでもない事でしょう。 例えば、カリフォルニアでは移民局すらある程度は不法移民に目をつぶると言われています。 なぜなら、「3K」である農場での仕事は、経営者以外のアメリカ国籍の人は嫌がるせいだと言われています。 その結果、最低賃金(現実はそれ以下と言われています)で働いてくれる不法移民は、経済の潤滑な運営上欠かせないものとなっているからです。 もし、法律通りの取締りを行ったら、農園が軒並み潰れてしまい全米の農産物の価格がとんでもないことになってしまうそうです。 他にも、悪名高いPalisades ParkのRoff avenueのピック・アップ(ランド・スケーピング〜冬季の除雪も含む〜などの当日払いの単純作業者の募集)は、この辺りでも無くてはならないものとなっています。

さて、ここで「資本主義」が全開になります。世界の資本主義の中心であり、そのためには京都議定書にすらサインしなかったアメリカですから、プラグマティズムは半端でないわけです。 よって、「良い不法移民」と「悪い不法移民」のカテゴリーが出来てしまう訳です。 「良い不法移民」とは「アメリカ人の職を奪わない不法移民」で、「悪い不法移民」は「遵法移民」含め「アメリカ人の職を奪う移民」と言うことになります。 この視点で見た場合、「良い不法移民」とは農場などで最低賃金(もしくは、それ以下)で働いてくれる人々で、「悪い移民」は「ハイテックなどで働く」移民全般となります(注:不法である必要はありません)。 中国人(本土)やインド人はこのカテゴリーに入り、グリーンカードの待ち時間はハンパでなく長くなっています(もちろん数も多いですが)。

一般に、高学歴の移民は割と優遇されるため(大卒以上)、移民側ではどうにか大卒の学歴が欲しくなります。それによって、職を得られる確率、そして、高収入の職への道が開かれるからです。 当然、それに従って「ビジネス」が生まれます。移民にお金で学歴を与えるビジネスです。言ってみれば、お金を取ってコンテナに人を入れて密入国させるビジネスの高学歴版です。

当然、働き始めるとすぐに化けの皮が剥がれますが(剥がれなければ会社としてはオッケーで気がつかない?)、これは「Very bad immigration fraud」という事になります。 と言うのも、中産階級以上はこの国では発言力が高く政治問題化するからです。残念ながら、どの国でも高収入層の意見に重きが置かれるのは同じです。

さて、本題です。

「University of Northern New Jersey」と言う大学が今年初めまで存在していました。現在はもう解散しています。 何が特別かと言うと、これ、フェイクな大学でした。 これは「不法移民」を目指す生徒に「お墨付き」を与えるためだけに存在した大学です(例えばこんなケースが)。 これは、実は、驚く事ではなくアメリカにはいくらでもそういう大学があります。特に、オンラインのみの大学はそんなものだと思って間違いないくらいです(独断と偏見)。 連邦政府にとっては当然頭の痛い問題です。で、一計を案じる事となりました。 なんと、米国連邦政府直轄のエージェンシー(Homeland Security Investigations:HSI, a unit of United States Immigration and Customs Enforcement:ICE)がフェイクの大学を設立したのです。 つまり、上述の「フェイクな大学」とは、連邦政府が準備した「でっかいつり針」だったわけです。まあ、なんともスケールの大きな話です。

この大学はニュージャージー州に正式に認可され、また、高等専門学校認定委員会(Accrediting Commission of Career Schools and Colleges)の審査も通ったものでした。 言ってみれば、法律的に、また、実際にもきちんとした大学と認められていたのです。それだけではなく、実際にニュージャージー州にキャンパスと管理部の建物を持ち、どこから見ても普通の大学でした。 この大学の唯一の存在目的は、移民法を悪用する違法斡旋業者などを摘発することだったそうです。 21人が摘発され、南アジアのある国からの306人の学生が不法に入国したとして国外退去になっています (他の国は不明ですが、主犯格の人物がそれ以外のアジアの大人口の国の人の様に見受けられるので、実数はこの何倍にもなるのではと思われますが不明です:ちゃんと調べていないだけ)。

多分、過去にあったスティング・オペレーションの中でも、アメリカ国内で行われたものでは有数の規模なのではないかと思いますが、残念ながらソースはもう飽きたので探していません。

日本ではこの様な規模の大きなことはまずあり得ませんからビックリです。なんとも規模の大きなフェイクですが、たぶん、オペレーションに参加した人たちもノリノリ(死語?)だったのではないでしょうか。

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