桜の季節がやってきました。桜はやはり日本人の心です。桃のようなピンクではなくごく淡い桃色であるソメイヨシノ(染井吉野)を日本人が愛するのは、日本人の感性を反映しているのでしょうか。

ここしばらくの季節行事となった感のあるアジアのある隣国による染井吉野起源説の季節でもあります。

一般に受け入れられている定説としては、桜の原産地はヒマラヤ付近であると言われています。 どういう経路で日本まで広がってきたのか、いつ日本に入ったのかなどは生物学的な起源としては不明ですが、かなりの古来から存在するようです(数百万年前から自生しているとされる)。 桜はスモモ属 Prunusに属する植物で、確かにさくらんぼとすももは大きさを変えれば似た果実であると言えましょう。 しかしながら、染井吉野は結実しません。不稔性なのです。 染井吉野は日本産の園芸品種であり、エドヒガン系の桜とオオシマザクラの交配で生まれたと考えられているようです。自分の花粉で受粉できない性質のため、受粉には他の木が必要となります。 この二つの品種の掛け合わせの結果、言って見ればあいのこができた訳です。 レオポン(ヒョウの父親とライオンの母親)やタイゴン(トラの父親とライオンの母親)などと似た物と言えます。 これらの種間の雑種は一般に生殖能力がないか非常に弱いのが一般的で(ネコ科の雑種は子孫が残せるケースが多いようです)、染井吉野も例に漏れず不稔性です。 自分の花粉で増えられないという事は、クローンでもそれは出来ない訳です(クローンは遺伝的に自分と同じです)。 これが何を意味するかというと、「染井吉野は自力で増えられない」のです。実際、DNAを調べればすぐわかることですが、ほぼ全ての染井吉野はクローン(同じDNAを持つコピー)です。 これは実はとんでもないことなのです。染井吉野は自力で増えない。でも、日本どころか他国まで桜といえば染井吉野と言われるくらいに世界中に蔓延っている。 どういうことでしょう。

人の手で増やされたのです。染井吉野は接ぎ木で増やされます。台木となる他の品種の桜に接ぎ木されることによって増えるのです。 と言うことは、世界中にある染井吉野は誰かが接ぎ木したことになります。いったい日本だけで何本の染井吉野があるのでしょうか。 日本人の桜を愛でる心は、春先の一瞬の美しさを愛でるためだけに手間を惜しまず一本一本接ぎ木で増やしていった、そして今もそうしているのです。 これだけで、日本人がいかに染井吉野を愛しているかが伝わると思います。 ですから、桜の起源は定説はあるけれど議論の余地ありといえなくもないですが、染井吉野の原産地は日本です。 どこかの島に自生しているというのは染井吉野に限ってはあり得ません。 何故なら、ここまでして手間暇をかけて増やすのは、自生している株がないから、勝手に種で増えてくれないからです。 もしそうなら、日本中、今以上に染井吉野だらけになっていたかもしれませんね。

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